”岐阜県障がい者差別解消条例”、二つの問題

議員提案ということで審議されていた岐阜県の障がい者差別解消条例=「岐阜県障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくり条例」が今回の定例会で成立しました。この条例については問題が二つ挙げられます。

2015年12月議会質問4.1 県民意見の反映が不十分な条例づくりの過程、そして解消すべき差別と考えられることの具体的な記載と解決方法を欠く条例の内容、これらに問題があることを指摘せざるをえません。

条例案は県内の障がい者団体の要望で、まず最大会派(自民クラブ)のなかでの検討が行われ、次いで各会派代表からなる条例検討会議(無所属議員は含まれていません)で審議されました。
この会議が開かれた段階で既に条例案の文面は出来上がっていました。私もメンバーだったので、4月施行になる障がい者差別解消法の趣旨や他府県の同様の条例を踏まえ、別個に障がい者団体から意見を聴きつつ、▼何が差別と考えるのか、▼相談体制や苦情処理の仕組み(条例案では記載されていません)などを中心に明記するよう主張を続けましたが、意見は全く反映されませんでした。 (条例検討会議の会派構成は、自民クラブ7、県民クラブ(民主系)2、公明1、共産1) 最終的には条例案が固まったとして、今年になってパブリックコメントを募ったところ173件寄せられました。ちなみに同じ時期にやはり議員提案条例として検討されていた中小企業振興に関わる条例はパブリックコメントは20件あまりです。障がい者あるいは障がい者支援に関心のある人から多くの反響と意見反映の希望があったということでしょう。しかしパブリックコメントが反映され文面の変更につながったのはごくわずかでした。

議員提案条例として特定の会派の議員が提案し、審議のうえ条例化するのは普通のことですが、大津市など先進自治体の議会では条例文を作る前から各会派(あるいは希望する議員)から代表を出して検討会議を設け、参考人招致や公聴会、タウンミーティングなどを開催して住民の意見反映に努め、そのうえで条例文をつくるという過程をとっています。当然、時間はかかりますが、条例づくりに住民参画の機会をつくり自治そのものの力を伸ばしてゆく効果もあります。まして今回は障がい者に関わる条例、誰しも障がいを抱える可能性があることを考えれば、一党一派での検討を先行することなく主義主張イデオロギーに偏らない多様な議論を踏まえる必要があったのではないかと思います。

一方、内容については、障がい者差別解消法の趣旨として、この法に則った条例をつくる際に、自治体独自の「上乗せ、横出し」の考え方や施策となる条項を記載することの許容しています。つまり、自治体としての独自の取り組みを奨励しています。成立した岐阜県の条例はこの部分が非常に限られ(「県民会議」の設置程度)、自治体の創意工夫を考慮しない内容になっています。この面でも自治の力を伸ばす機会を逃していると思います。 さらに言えば、差別についての記載や、障がい者への対応、バリアフリー化の促進などで具体性を欠いています。私は具体的な記載を求めましたが「書き込むことでかえって障がい者と健常者との壁が出来る」とのことでした。 また重要な問題として、相談体制や苦情処理の在り方についても記載がありません。他府県では苦情処理委員会などを条例の中に記載しています。この点で岐阜県の条例は「法律であるからいいのだ」ということでしたが、例えば消費者相談の体制について県条例に記載があることなどとの整合性が取れません。私は条例で明文化すべきだと考えます。

問題点はまだまだ多々ありますが、私一人が反対していてもどうにもならないようで、条例施行後の修正も求めつつ、条例案には賛成をしました。条例の理念には何も反対するところはない、という理屈で。

条例検討会の議論のなかで、私の質疑に対し担当課の課長が答弁するのは全く不思議なことでした。
これが議員提案条例とは!?