第三者調査報告を受けた所見を聞く

今日、県議会の質問に立ちました。今回のテーマは、昨年来継続してきた「①県立郡上特別支援校男性講師の公務災害認定事案と教職員の働き方改革について」そして「②医療介護健康づくり政策とデータ活用の推進について」。
①について、質問と答弁をお伝えします。

【太田質問】
①  特別支援校講師の公務災害事案に係る第三者調査結果と教職員の働き方改革について

議長の許可をいただきましたので通告に従い二つのテーマについてお聴きします。
最初に県立郡上特別支援校の講師が公務災害認定された事案について。昨年の定例会で三回にわたって質問してきましたが、再三求めてきた弁護士による第三者調査委員会による報告があり、これを受けた教育長はじめ関係者の処分もありましたので、この事案をいったん総括する質問を行います。
私は去年6月の定例会で、はじめてこの事案について質問した時に訴えました。「この方に起きたことが、ほかの教職員にも起こり得たのではないかという観点。この観点なくしては、県教育委員会としても組織の改善、教職員の勤務環境の改善には繋がりません」と。さらにその後の質問で、またご遺族とともに直接、教育長にも訴えてきました。「第三者調査が必要である」と。中立的な調査を行うことで、行政の公平、公正、透明性を担保し、教育委員会の信頼を保つためにも。
第三者調査については、去年11月に担当する職員が知事部局から異動し、弁護士3人が中心になって行われました。去年の仕事納めの日に提出された135ページにのぼる調査報告書は、第三者調査が始まるまでに教育委員会が主体的に行った聴き取りも含まれていると思いますが、一方で客観的な視点で行われた検証は緻密で、厳しく、事案の背景や県教育委員会のマネージメントの問題を抉り出しています。例えば130ページ、「県教育委員会のこれまでの取り組みの実効化」という項では、平成27年に設置された岐阜県教職員コンプライアンス向上委員会について、不祥事を根絶するための施策大綱として、①コンプライアンス意識の向上、②勤務の適正化、③機能的な組織の構築、④働きやすい職場づくり、などが挙げられているものの、「施策の進捗状況を検証したところ、必ずしも十分な取り組みがなされているとはいえないことが判明した」と厳しく指摘をしています。私が議会で問題を指摘した教育長への情報伝達の不徹底、文書の情報開示の不備についても指摘をし、「再発防止に向けての提言」として、「発生当初から適切な対処をとってきたとは言えず、危機意識が足りない、ルールに基づかない対応」と厳しい評価を下しています。確かに教育委員会にとって問題を白日のもとに晒す内容です。
なぜ、第三者調査に後ろ向きだったのかと考えると、たいへん失礼な表現かと思いますが、問題を大ごとにすることを避け、幕引きを図ろうとしたのではないか、と思えてしまいます。確かに教育行政のなかで、子どもたち、保護者への影響も重要で、大きく扱いたくないという気持ちも分からないでもなく、今回の事案のように機微に触れるような場合は尚更でしょう。しかし昨今、全国的に起きている学校に関わる重大事案でのそれぞれの教育委員会の対応の遅れ、不備の事例を鑑みますと、毅然とした対応を回避することは許されなかったはずです。
これは教育長にだけ問うているのではありません。もし、第三者調査をしなかったら、このような調査報告書になっていただろうか、そして調査報告書を元にした再発防止の取り組みはできていたのだろうか。去年10月の質問で、教育長が第三者調査に後ろ向きの姿勢を示されたことを振り返ってのご説明も含め、この調査報告書をどう受け止め、どのように組織の体質改善を図るのかご所見をお示しください。
また、この第三者調査の報告のあと、ご遺族から損害賠償請求の民事調停が申し立てられています。実質的な相手方になる県教育委員会は真摯に応じるとともに、重い責任と捉えご遺族の申し入れの通り過労死防止、ハラスメント防止を誠実に実行に移していただきたく思います。
調査報告を受けた県教育委員会の業務の改善、組織マネージメントについてもお尋ねします。調査報告書の提出を受けて今年1月「調査報告書を踏まえた再発防止策」が公表されました。県教育委員会に教育管理課を設置し、指摘された情報共有、文書管理、情報開示などへの対応、コンプライアンス向上への取り組み、ハラスメント事案などへの対応といったことが挙げられています。知事部局、教育委員会ともに人数が限られているなか11名もの体制で発足させることについては、私は真摯な対応であると受け止めます。
また校長、教頭はじめ教育委員会管理職を対象としたコンプライアンスや労務管理研修なども行うとしています。さらに県立学校の出退勤管理システムの導入で、これまで不十分だった教職員の勤務管理を図り、適切な働き方を目指すということです。これら業務、マネージメントの改善については知事部局が先んじていて、その経験実績が参考になることと思いますが、県教育委員会の体制構築にあたっては管理業務に精通した行政職員を主とし、教育職については現場の知識経験を活かす上で必要な職務として基本的には子どもたちに向き合うことができる業務にシフトすることが望ましいのではないでしょうか。また将来的な(中長期の)県立学校のマネージメント力の強化としまして、先の総合教育会議で「県立学校へのミドルリーダー=主幹教諭の新設」が挙げられていました。2007年の学校教育法の改正で導入された、とされていた学校の管理職を補佐するとした役割ですが、その後、定数もあってのことと思いますが現実には配置されていないということでした。これについては慎重な検討のうえ、段階的に進めてゆくということですが、現状の学校事務職員の業務との兼合いを含めて、実際にどうしてゆくのか方向性を示す必要があります。
労務管理につきましても、昨年秋に教職員の業務の実情を把握し、長時間労働の解消に向けた検討を行うとして県立学校の勤務実態の調査を行いましたが、エビデンスに基づいた行政運営のために実態把握は不可欠です。調査期間一週間のうちに4割を超える教職員が休日出勤をしていて、その主たる要因は部活動であるとか、児童生徒の指導に関わる業務のほかにも学校運営に関わる業務でも多くの時間が割かれているという実態が改めて明らかになりました。私は県教育委員会として、こうした調査を県内市町村の教育委員会にも働きかけて、全県的な学校現場の実態をデータとして常に把握するべきだと考えます。市町村教育委員会の独立性はあるものの長時間労働の問題は小中学校も含めた全ての教職員の問題だからです。継続的な実態調査とそれを受けた働き方改革の指針の改編を行ってPDCAサイクルを回し、調査報告書でも書かれているように、毎年度進捗管理を行うことを「確実に実効」されることをお約束いただきたいと思います。
来年度、第三次岐阜県教育ビジョンを策定します。現行の第二次教育ビジョンでは教職員については優秀な人材の確保、資質の向上、コンプライアンスの向上に重きが置かれ、多忙化の解消にはそれほど充てられていません。県の教育行政のあり方を示す最高位のビジョンに、教職員の働き方の改善とそれに伴って子どもたちにしっかり向かい合える教育現場づくりの観点をどう組み込まれるのか、注目されるところです。
さて、松川教育長については、本来、この点のご説明もいただくべきところですが、一月末の新聞報道で今月末の任期満了で退任する意向が報じられていました。その一方でこの事案について責任ある方々のなかには引き続き岐阜県の教育行政を担われる方もお見えになるでしょうが、処分が出て、再発防止策が公表され、ひと段落ついた、というものではなく、今後も忘れてはならならず、組織の体質改善に意識的に取り組むべき、と思います。
岐阜市役所では、10年ほど前、当時の課長が自ら命を絶たれ、強い精神的負荷に起因する公務災害と認定されたことから、市として去年から過労死等防止啓発月間、啓発強化週間を設けました。ハラスメント、過労死のない組織づくりを意識し続ける、こうした「防止啓発月間・週間」についてはいかがお考えでしょうか。
最後になりましたが、松川教育長にはこれまで11年にわたり、困難も多い過渡期にある教育行政トップとして、子どもかがやきプランの推進をはじめとする重要なプロジェクトに真摯に取り組み、足繁く現場に赴き、子どもの声、保護者の声、教職員はじめ働く人たちの声に耳を傾けてこられたと私もお聞きしています。だからこそ、この事案への対応とそこからわかった教育委員会の諸問題について、私は返す返す心残りな限りです。幾多のご功績ご苦労を評価したいところですが、結果論として、選挙を経ることはない特別職の在任十年余りはいささか長すぎるのではないかと思います。  教育長にお尋ねします。
(1)最初に、 この事案について、これまでの県教育委員会の対応について、第三者調査結果を踏まえた所見をお尋ねします。
(2) そして第三者調査の報告を受け、県教育委員会はどのように業務・管理(マネージメント)を改善しようと考えているのでしょうか。
(3) また、これまでも公表されている教職員の働き方改革について、確実に進めるために、どのような取組みを行うお積りでしょうか。
(4)最後に、今回の事案を踏まえた働き方改革の視点を、どのように第三次岐阜県教育ビジョンに反映させてゆくお積もりでしょうか。

【松川教育長答弁(聞き取り)】
特別支援学校講師の公務災害事案に係る第三者調査結果と教職員の働き方改革について4点ご質問がありました。
まず第三者調査結果踏まえた所見についてお答えします。
今回私も含めた多くの関係者が処分を受け教育委員会の組織全体を預かる者として十分な対応ができていなかったことを深く反省しております。
すでに5年近くが経過し、この間ご遺族にはご心痛、ご苦労をおかけし大変申し訳なく思っております。改めてお亡くなりになられた教員に対し心から哀悼の意を表します。弁護士による第三者調査の報告書では、この事案対応の一連を通じて教育委員会の危機管理意識が十分でなかったことや報告や決裁といった組織内での情報共有のあり方、根拠を確認しない事務処理など数々の課題が指摘されました。
また、何よりも当時学校において亡くなられた教員に対し、上司の不適切な指導があったことや管理職による勤務状況の把握が十分ではなく、負担軽減や支援ができていなかったということも改めて認識したところです。
と同時に、相当の期間が経過した中で教育委員会職員による内部調査に限界があったことをまさに感じたところです。
これらを重く受け止め1月末には、関係者の処分と併せ報告書で提言があった点は全て対応すべく再発防止に向けた取り組みをまとめたところであり、今回明らかになった組織の問題点を深く認識し、職員が一丸となって取り組みを進めていかなければならないとの思いを新たにしたところです。
次に調査報告を受けた業務管理の改善についてお答えします。
再発防止に向けては速やかに県立学校の校長や事務局各課長を対象に本事案を題材とした研修を実施するとともに、こうした重大な被害が生じた事案を教育長決裁事項として明確化した上で教育長等への報告・協議ルールについて改めて職員に周知徹底を行って参りました。さらに危機管理コンプライアンス向上の観点から4月からは事務職員を中心とした教育管理課を新設し、教育委員会全体の文書管理や情報公開、法令遵守に係る取り組みを継続して点検するとともに苦情・トラブル情報の集約、その後のフォローを着実に行って参ります。
加えて新たに専門家による第三者機関を設置し、職員で対応が困難なハラスメント等の疑いである重大事態にも対処してきます。
また、学校のマネジメント力強化の観点からはハラスメント防止等の管理職研修を拡充するほか、教員の出退勤の状況をリアルタイムで把握できるシステムに加え、新たに教員一人ひとりの分掌表を導入する等、教職員のサポートにつなげてまいります。
さらに、今回の事案を風化させることがないよう、国と同じ毎年11月を過労死等防止月間と定め、今回の事案を題材とした全教職員に対する職場研修や啓発などを重点的に行うことを考えております。

次に働き方改革の実効性を確保するための取り組みについてお答えします。
働き方改革の実効性を高めるためには教職員の勤務時間の正確な把握が基本であり、これを着実に実施し、その状況に応じた改善策などを通じて学校運営に的確に活かしていくことが重要であると考えとります。
このため本年度から事務局職員の学校訪問や県立学校の全学校長を対象とした面談などを通じて取り組み状況の確認や働きかけを行っており、これらの状況も踏まえながら働き方改革プラン2018の策定を進めているところです。
また、改革プランの実効性を確保するため、4月から先ほどから申し上げた教育管理課が中心となり、教職員の働き方改革の定期的な進捗管理を担って参ります。
こうした中でご指摘のあった県立学校や市町村立小中学校の実態調査についても継続するなど、PDCAサイクルによる確実な進捗に努めて参ります。
最後に、働き方改革の次期教育ビジョンへの反映についてお答えします。
働き方改革の推進は教師が本来行うべき業務に集中し質の高い教育を提供していく上で不可欠であり、第三次岐阜県教育ビジョンにおいても主要な取り組みとして位置づけていきたいと考えております。
先月開催した第一回教育ビジョン策定委員会や総合教育会議でもご議論いただいたところであり、策定委員会の場では自らの働き方について現場の教員に主体性を持って考えてもらうことが必要であり、教員の声を聞いて検討すべきといったご意見もいただきました。こうしたことから、今後、策定委員会委員の学校訪問や現場教員も交えた議論など現場の意見を踏まえた上でさらに検討を深め、第三次教育ビジョンに反映して参ります。
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